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平成22年度厚生労働省老人保健健康増進等事業
『男性介護者に対する支援のあり方に関する調査研究事業』
【本調査研究の社会的背景と事業の目的】

 高齢化率が20%を超え、すでに超高齢社会に突入している現在、独居高齢者世帯、夫婦のみ世 帯、親と未婚の子のみの世帯は増加傾向にある。
 また、地域社会や家族関係が急速に変容している昨今、地域からの孤立によって、在宅介護に おける家族介護者(男性介護者)が引き起こす、高齢者虐待、介護殺人、介護心中などの事件も 絶たない。これらの背景には、男性介護者は家事に不慣れなどのほかに離職・転職による経済的 な面での困難を抱え、孤立した介護生活に追い込まれるなどの問題がある。
 この問題を解決するにあたり、現状の介護者支援が男性介護者のニーズに合っているかの実態 調査が必要であると考え、男性介護者を支援するなど直接関連がある自治体、社会福祉協議会(以 下、社協とする。)、企業を対象に介護支援体制のありかたを調査するとともに、男性介護者自身 が求める支援のあり方について調査を行なった。

【本調査研究の目的と方法】

 本調査では、全国の市区町村自治体、社協が実施している家族介護者および、男性介護者を対 象として実施している介護サービスの体制や支援内容などに関する調査と高齢者虐待の実態を明 らかにすることである。
 それにより、男性介護者の介護支援には、どのようなニーズがあり、何が不足してるのかを明 らかにすることが可能である。
 それとともに、企業を対象に、介護休業制度の認知と取得状況の 把握、復職支援体制の整備状況および復職者の状況について調査を行なった。
 調査対象として、全国の市区町村自治体、社協の高齢者福祉担当者および、男性介護者を雇用 している側である民間企業の人事労務担当者に対してアンケート調査票を送付した。
  次に、それぞれの対象者の地域性、回答内容などを勘案して特徴的な回答を得た自治体、社協、 企業に対して調査票に基づくヒアリング調査を実施した。
 それに次いで、男性介護者のニーズと支援体制を把握するために、現在または、直近までに在 宅での介護を行なっていた男性介護者に対して行政や企業の支援体制のあり方についてヒアリン グ調査を行なった。

【主な調査結果】

 調査の結果、自治体や社協の高齢者福祉担当者は、男性介護者に対し「自己流の介護に固執し、 親の年金に依存する傾向が強い」との共通認識を持っているが、支援体制の中心となる地域包括 支援センターが、男性介護者を対象にした特別な支援体制を構築していないため「介護サービス の質の均一化」が大きな問題となっている。
 また、共通の問題として、高齢者虐待の発見などに大きな役割を果たす民生委員について、人 員不足や個人情報の問題があり、それぞれの支援する側と民生委員との連携がうまく行なえてい ないことが明らかにされた。
 企業においては、一部ではあるが企業全体の方針として育児や介護に対する配慮や復職支援が 行なわれているところもあったが、男性介護者に対する支援体制が非常に不足していることがわ かった。
 男子介護者の求めるニーズとしては、食事洗濯などの生活スキルを補助する支援の他に、「要介 護度に関係なく一時預かりをする施設」など、現行の支援サービスでは行なわれていない支援を 求めている事に加え、在宅介護に対して地域コミュニティが果たす役割が大きい事が分かった。

【提言】

 これら問題解決に向けた提言としては、大前提として男性介護者が抱える様々なニーズを正確 に把握する事が必要であり、それをふまえて、介護支援体制には男性介護者を対象としたサービ スなど、性別に応じた配慮を行なう必要がある。
 また、これらの支援を円滑に行なうためには、自治体や民間、保健医療福祉が連携する「地域包括ケア」の視点に立った支援が必要である。
地域から孤立しがちな男性介護者に対しては、「地 域包括ケア」を一歩進めた「地域包摂(Inclusion) ケア」の発想、つまり、さまざまな地域組織が 協働して、男性介護者を支援していくローカル・ガバナンスの構築が重要となってくる。
 その意味では、上記の介護ネットワーク形成において、今後は社協だけでなく、地域包括ケア の推進に期待される「地域包括支援センター」の役割の強化が喫緊の課題となる。
 最後に、これからの企業経営者には男性介護者に対する理解が求められる。
 勤労者は、企業にとって大切な資産であると考え、彼らが仕事と介護のバランスが取れるよう に支援していくことが必要である。
 また、国も福祉と労働の連携を強化し、企業などに対しても支援を行なう必要がある

【委員一覧】
委員長
武川 正吾
 東京大学大学院人文社会系研究科
教 授
委 員
和気 康太
 明治学院大学社会学部社会福祉学科
教 授
金  貞任
 東京福祉大学大学院社会福祉学研究科
教 授
藤井  衛
 社会福祉法人 ぐりーんろーど
長沼 義信
社会福祉法人 板橋区社会福祉協議会
地域福祉課長
上原 喜光
 一般社団法人 全国介護者支援協議会
理事長
【調査期間】

平成22年7月1日〜平成23年3月31日

【調査結果】

男性介護者に対する支援のあり方について、調査検討委員会が分析を行ない、それに基づく提言を報告書にまとめた。

【報告書】<

報告書(PDF)
● 一括ダウンロード[9.5MB]

● 表紙・はじめに・目次[266KB]
● 第1章 調査研究の概要[329KB]
● 第2章 自治体アンケート調査結果[4.8MB]
● 第3章 社会福祉協議会アンケート調査結果[6.4MB]
● 第4章 人事労務向けアンケート調査結果[3.2MB]
● 第5章 男性介護者支援におけるヒアリング調査結果 [405KB]
● 第6章 本調査研究の総括と提言[256KB]
● 参考資料[1.5MB]

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